家賃を滞納したらどうなる?取るべき対応を弁護士が教えます!

2023年08月24日

はじめに

新型コロナ禍の影響で給料が下がったり職を失ったりして家賃が払えない方が増加しています。家賃を滞納したらどうなってしまうのでしょうか?追い出されてしまわないのでしょうか?

今回は家賃を滞納した際の対処方法や滞納することで生じるリスクやデメリットについて、弁護士の視点から解説します。家賃の支払いが厳しい方、すでに滞納してしまっている方はこの記事を参考にして、早めに対処しましょう。

1.家賃を滞納したら、すぐ退去させられますか?

家賃を滞納したら、即退去!ではない

賃貸物件の借主は借地借家法という特別法で権利が守られているため、家賃を滞納したからといってすぐに退去させられるわけではありません。部屋を借りて住むということは、生活を成り立たせる上で極めて基本的かつ重要な権利であり、みだりにそれが脅かされないよう、借主はしっかりと法律で保護されているのです

したがって1ヶ月家賃が払えなかったからといって追い出されるわけではありませんのでご安心ください。

強制退去させられる条件はこんなもの

賃貸物件を退去させられる要件としては貸主(大家)との「信頼関係の破壊」が挙げられます。

たとえば家賃を滞納している状況が続いている場合、借主に家賃を支払う意思がないと認められる場合、その他迷惑行為(騒音を発生させる、ゴミ出しのルールを守らないなど)、契約違反行為(ペット不可の物件で動物を飼育する、又貸しをするなど)を行った場合、貸主と借主の間で信頼関係が破壊されているとみなされ、強制退去が認められる可能性があります

どのくらいの期間、滞納したら退去させられる?

おおよその目安として3ヶ月間滞納が続いていると強制退去の通知が来るケースが多いです。1ヶ月や2ヶ月家賃の支払いが滞っている場合は信頼関係が破壊されているとまではいえません。たまたま支払いを忘れていたり何らかの手違いで口座から引き落とされなかったり一時的に困窮していたりする可能性も考えられるからです。

ただし、何も対応せず3ヶ月以上滞納しているとなると、支払いの意思がないとみなされ、強制退去の対象となり得ます。また、その他にも信頼関係の破壊行為が認められると、強制退去のおそれが高まります。

2.家賃滞納から強制退去までの流れ

 

そうならないために。強制退去までの流れを知ろう

強制退去の通知、つまり「契約解除通知」が来てしまうと、賃貸借契約が解除となり物件を退去しなければなりません。それまでに対応すれば、なんとか物件に住み続けることができます。強制退去にならないためにも、以下のような流れがあることを頭に入れておきましょう。

3.家賃を滞納した時にすべき3つのこと

支払う意思があることを伝える

まずは大家さんや管理会社に家賃を支払う意思があることを伝え、信頼関係を壊さないことが大切です。誠心誠意謝罪して滞納してしまった理由を説明し、可能であればいつまでに支払うか?も約束しましょう。

滞納すると後ろめたさから大家さんに連絡を入れない方も少なくないのですが、それが信頼関係を破壊する悪手となります。気乗りはしないかもしれませんが、前述のとおり信頼関係の破壊の有無は強制退去の要件となるので、しっかりと大家さんに連絡をとりましょう

なんとかお金を工面して支払う努力をする

経済的に困窮していたとしても、家賃を支払わないといずれ強制退去させられてしまいます。どうしても退去したくないけど自分で支払えない場合は、副業をする、お金を借りるなどしてでも工面する必要があります

家賃を支払う方法としては以下のようなものが挙げられます。

親族や友人から借りる

家賃が支払えないほど経済的に困窮している場合は、銀行の融資も審査に通らない可能性があります。かといって利息が高いカードローンや消費者金融、あるいは違法な闇金などを利用すると破産することにもなりかねません。

まずは親族や友人からお金を借りられるかどうか確認してみましょう。利息がかからず、返済期間も融通が利きます。ただし、親族の方やご友人との信頼関係が低下する可能性もあるため注意しましょう。

公的制度を利用する

国や自治体では生活困窮者を支援するためにさまざまな救済制度を用意しています。こうした制度を利用するのは気が引けるかもしれませんが、思い切って頼ってみるのも一つの手段です。

制度 概要 窓口
住宅確保給付金 自治体が代わりに家賃を支払ってくれる(原則3ヶ月)。返済不要。 市区町村の役所(福祉担当)
求職者支援制度 生活費(月10万円)をもらいながら無料の職業訓練を受けられる(2~6ヶ月)。返済不要。 ハローワーク
生活保護 生活費全般で困っている場合、保護費の支給を受けられる。
金額は世帯の状況によってことなる。返済不要。
福祉事務所
緊急小口資金 無利子・保証人なしで、国から10万円以内の借り入れができる。
要返済。
社会福祉協議会
総合支援資金 連帯保証人がいる場合は無利子、いない場合でも低い利率で国から借り入れができる(3~12ヶ月)。 社会福祉協議会

そもそも家賃は生活に見合っているか見直す

家賃が支払えず滞納してしまうということは、そもそもご自身の収入が十分ではない、もしくはある程度収入はあっても浪費をしているか借金の返済などによって家賃の支払い分を確保できていない状態であるといえます。仮に滞納分を支払ったとしても、また同じような状況に陥ってしまうでしょう。

もう少し家賃が安い物件に引っ越す、生活スタイルを見なおすなど、根本的な改善が必要かもしれません。

4.家賃を滞納するとこんなデメリットが!

家賃滞納をして強制執行がなされることで、今後の人生にも重大な影響がおよびかねません。これまでの人間関係が壊れてしまったり、より経済的に困窮したり、日常生活が送りにくくなってしまったりするリスクがあります。

ここからは家賃滞納によるデメリットについて見ていきましょう。

 

本来支払わなくていいはずの家賃延滞損害金を支払うことになる

家賃を滞納した場合、家賃延滞損害金を支払わなければなりません。家賃を期限までに支払わなかった場合に上乗せされる損害賠償金のことで、通常5%もしくは6%の法定利率で請求されます

家賃延滞損害金は支払期日の翌日から発生し、延滞した日数分を支払わなければなりません。家賃を延滞することで、本来であれば支払う必要がない余計な出費を増やしてしまうことになるのです。

給料・家財などの財産を差し押さえられる

裁判所から滞納分の家賃支払い命令が出た場合、強制執行が行われて給料や家財などが差し押さえられてしまう可能性があります。

給料は手取りの1/4以下の金額まで差し押さえることが可能で、それだけ収入が減ってしまいます。また、給料が差し押さえられる場合は裁判所や債権者から職場に連絡が行ってしまうのも大きなデメリットです。

家財道具が差し押さえられてしまったら、当然のことながらそれを使うことができません。

信用情報に傷がつき、今後の審査関係で不利になる

強制退去させられた履歴は不動産会社や保証会社のブラックリストに掲載されますので、再度賃貸物件を借りることが非常に難しくなってしまいます。一社だけでなく他の会社にも情報が共有される可能性もあるため、複数の不動産会社をまわっても物件を借りられないといった事態にもなりかねません。

また、自己破産をしてしまうと個人信用情報にも傷がつき、銀行から融資を受けられなくなってしまう、クレジットカードが作れなくなってしまうといった弊害が発生します。

連帯保証人やお金を借りた友人・知人に迷惑をかける

家賃を滞納した場合、連帯保証人にも督促が行きます。連帯保証人が滞納分の家賃を支払ってくれれば物件に住み続けることはできますが、非常に大きな迷惑をかけることになり、関係も悪化してしまいます

また、友人や知人からお金を借りるという解決方法もありますが、やはりお金を貸す方としては負担となります。利息がなく返済期限に融通が利くとはいえ、大切な友人や知人との関係が悪化するおそれがあります

5.家賃滞納の問題を弁護士に相談するメリットは?

プロに任せることで安心できる

大家との交渉は非常に労力がかかります。家賃を滞納している場合、やむを得ない事情があったとしてもご自身に非があるわけなので、かなりつらい立場に立たされることになるでしょう。

弁護士に相談していただくことで、交渉もすべて代行してもらえるため、精神的な負担が大幅に軽減可能です。また、これまでご自身だけで抱えられていた悩みも第三者に話すことで精神的にスッキリします。

根本的な解決はひとりだと難しい

家賃を滞納されている方は、他にも借金などの負債を抱えられている場合が少なくありません。返済しきれないほどの負債がある場合は、債務整理も視野に入れる必要があります。しかし、個人では手続きができないので、弁護士に依頼するのが得策です。

また、大家さんと交渉することで分割払いや支払い期限の延長などに応じてもらえる可能性が高くなるのも弁護士に依頼するメリットです。

賃貸立ち退きトラブル相談窓口では、家賃滞納問題の解決を得意とした弁護士が親身に相談に乗ります。初回相談は1時間無料。話しやすさと解決スピードで選ばれています。ぜひお悩みは一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

◆まとめ

家賃を滞納しているとやがて賃貸物件を強制退去させられてしまうことになります。それ以外にも損をしたり、これまで築いてきた人間関係が悪化したりするおそれがあります。取り返しがつかないことにならないうちに、早めに弁護士にご相談ください。

賃貸立ち退きトラブル相談窓口では、家賃滞納問題の解決を得意とした弁護士が親身に相談に乗ります。初回相談は1時間無料。話しやすさと解決スピードで選ばれています。ぜひお悩みは一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。

弁護士監修記事

弁護士 菊地 智史

弁護士菊地 智史SATOSHI KIKUCHI

杉並総合法律事務所 所属
建物明渡し、更新料請求など借地借家関係の事件を多数解決
宅建士、敷金診断士の知識を活かし、様々なトラブルに対応

関連記事

2024年2月26日

土地境界線の立会いを拒否されたら?対処法と注意点を解説

2023年5月25日

家賃滞納者が自己破産したら、滞納家賃はどうなる?

2024年3月27日

借地権の相続でトラブルにあったら?知っておきたい対処法

2023年6月26日

賃貸で立ち退き拒否されたときの対処法とは?交渉方法から事例まで解説!